2021-06-06 折戸洋俳句選集 2 梟の闇をうかがひつつ食らふ 読初の特急券を栞とす どことなくしゆつとしてをり雪達磨 銭湯の瓶の牛乳日脚伸ぶ 阿弗利加の仮面と向かふ火鉢かな 煮凝や壁に聖句を貼りつけて 冬ごもり積みたる本を積み直し 屋上に煙草吸ひをり文化祭 みざるときまばたきしたる菊人形 冬耕やラジオのうたふ流行歌 二階よりとんと音して秋に入る 水腹の重き残暑をとぼとぼと 夏座敷だれもつづきを知らぬ唄 車窓より鞄なげこむ帰省かな 北窓を開けマルボロの封を切り